解説)映画「TENET」何で分からないのか
Twitter上で「TENETを完璧に理解できた!」って人がいないくらい難解で話題になっている映画。
まだ観たことない人にとっては、「なんでそんなに分からないだろう?」と疑問に思うことであろう。
予告編自体でもちょっと謎が多いくらいで他となんら変わらないようにも感じる。
自分も観てみたが、正直分からなかった部分が多い。
自信もって言えることと言えば、何で分からないかが分かったくらいだ笑
なので、映画「TENET」が何でここまで分からないのかを解説していくぞ。
( こんなことが分かります)
✔ TENETが何で分からないのか
映画「TENET」が何で分からないのか
(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
分からない理由は、大きく分けて5つ程ある。
- 高度な物理学を理解している前提。
- 高度な物理学の専門用語がポンポン出てくる。
- 時の流れがごっちゃになっている。
- ワンシーンずつの情報量が多すぎる。
- 色んな人達の思惑がややこしい。
この5つで、1と2と3が映画の根底にある難しさ。
この3つがあるから、大多数の人が分からなくなっていくんだ。
逆にこの3つがこの映画の特徴でもあり、面白さでもあったりするんだけどね。
その上、4番のワンシーンの情報量の過多が襲い掛かってくる。
5番のところは、これ単体だと分からなくなる大きな要因としてはなりえないんだが、他の4つが大きく絡んできているせいで、難解となってしまった。
それぞれ5つを詳しく解説していくぞ。
・TENETが分からない理由1)高度な物理学を理解している前提。
このTENETの大本の話として、時間の逆行をしてしまうことにある。
その仕組みは、とても複雑で簡単に映画内で話されているんだが、正直全く分からん。
パンフレットを買って読んでみて、もう1回観ても分からない自信があるくらい分かりづらい。
それもそのはず、大学の物理でやるような内容を映画の題材として取り扱っているからだ。
現役大学生の物理専攻している学生でもない限り、教授や物理にかなり強い人間じゃない限りこの映画の根底にある時間の逆行の仕組みを完全に理解することはかなり難しい。
この大学の物理で取り扱うような仕組みを根底に据えて、映画が進んでいくのだから、色んな人が難しいと感じるのも無理はないよね…
・TENETが分からない理由2)高度な物理学の専門用語がポンポン出てくる。
大学で扱うような物理学が出てくる以上、色んな専門用語も出てくる。
正直、分からない専門用語がポンポン出てきているから、内容も分からなくなっていくんだ。
例えば、その辺のIT音痴の人にプログラマー上級者の本を渡して理解しろと言っても理解なんてできない。
IT音痴じゃなくったって、大抵の人は理解なんて難しい。
それは、プログラマーの上級者ともなれば、当然のように専門用語が出てくるし、プログラムのある程度の常識を知っている前提で話が進むからだ。
このTENETも大学の物理学の話を解説するあまりその専門用語や物理学の常識を知っている前提で話は進むんだ。
自分なんて、高校の物理を10年以上前にちょっとやっていたくらいの知識だから、殆どないに等しい。
正直話を聞いていてもピンと来ないんだよね。
それで気になるのが、どんな専門用語がでるってことだ。
例えば、エントロピーや祖父殺しのパラドックス(親殺しのパラドックス)などだ。
エントロピーは、簡単に言うと乱雑さや情報量らしい。
というより、乱雑さや情報量と置き換えることが多いとのことだ。
映画内では、祖父殺しのパラドックスと出ているが、ググると親殺しのパラドックスと表示される。
これは、簡単に言うと過去で自分の親を殺すと自分は生まれなくなる。
存在しなくなるという矛盾が生じてしまうので殺せないぜってことらしい。
こういう専門用語の説明は、映画内でもチラっと説明されるが、正直内容が難しすぎるし、ホントサラッとだから理解が出来ないんだ。
こんな感じで大体の人が知らない専門用語を映画内でバンバン使ったりされると余計分かる内容も分からなくなっていく。
説明されても内容が難しすぎれば、理解も到底難しくなってしまうんだ。
・TENETが分からない理由3)時の流れがごっちゃになっている。
これは、色んな映画を観ていて感じることのあるだろう。
過去と未来を行き来したり、過去を変えて帰ってきて、未来がちょっと変わっている系の映画ってどこか内容が難しくなったりする。
この映画は、メインの時の流れ(時の並行)と一部の時の流れ(時の逆行)が同時に起きているんだ。
特にメインのキャラクターなど一部が時の逆行をしている点がかなりややこしくしている。
0から10までメインの話は進んでいるのに、敵などの一部のキャラは、10から6あたりまで時の逆行を行っている。
その分、いつも通り映画の話を理解しようと頭を使う他にその並行と逆行のことも頭に入れて観なければならなくなってしまう。
純粋に頭のタスクが色んな方面に割かれてしまうんだ。
その他に理由の1と2の慣れない物理学の話も頭に入れながら、観ていくんだから余計分からなくなる。
各シーン現在と過去の時の流れを観つつ理解するという他の映画では、まず体験しえない頭の酷使があるから余計分からなくなるんだ。
・TENETが分からない理由4)ワンシーンずつの情報量が多すぎる。
他の映画にはない情報量の多さに驚かされた。
- 会話(ストーリーもそうだが、物理学の説明もあるので、他と違ってかなりの情報量)
- 伏線(それっぽい感じで匂わせるシーンが多数ある)
- 1シーン内に時の平行と逆行
普通の映画の情報量に加えて、この3つの情報量を追加してきている。
これが、他の映画と同じスピードで2時間以上続くんだから、かなり疲れてくるし、集中力もなくなっていく。
Twitterでは、観ている人の中にかなり疲れたって言っている人も多数いたほど。
疲れる原因は、こういったワンシーンの情報量の多さにある。
情報量が多いワンシーンをしっかりと落とし込めずに話が進んでしまえば、理解できずに分からない状態になってしまうのは無理もない話だ。
・TENETが分からない理由5)色んな人達の思惑がややこしい。
正直他の4つと比べるとそこまで分からなくなる理由でもない。
他の4つと絡んでいるからこそ分かりづらくなるといった方がいいのだろうね。
主人公と敵、その協力者的な立ち位置の3つの立場の思惑が存在して、そこに黒幕らしき存在もある。
そのくらいで、他の映画とは何ら変わらない感じではある。
だが、他の4つ…
物理学のことや時間の逆行と並行の同時進行、情報量の過多により、この普通の内容でも難しく感じてしまうんだ。
TENETが分からない状態をなるべく避けるには…
(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
共通して言えることは、物理学を勉強することをオススメする。
エントロピーや祖父殺しのパラドックス(親殺しのパラドックス)を理解するのが一番だ。
あとはパンフレットを先に買って、TENETの真実の未来人の目的(アルゴリズム)の図解を頭に入れることが分かりやすくする。
その理由は、一番分からない物理学の部分を無くすことで、他の部分に深く思考できるためだ。
それに他の部分もより理解が深まりやすい。
元々この映画の根底が時間の逆行という物理学だからね。
初見の人は、上記の物理学の事だけで十分だ。
あとは、映画を楽しんでもらおう。
2回目以降の人は、この物理学の他に自分の分からない点を洗い出し、他の考察記事をも読んでみて挑むといいだろう。
分からないことを整理するのは、理解する上で重要なことだからね。