実体験)3DCGモデラーってキツイの?ホントにキツイと思った時も紹介
自分は3DCGモデラーとして働いていた経験があり、その経験と業界で知り合った人たちの話を元にこの記事を書いています。
みんな気になっていると思うであろう、実際3DCGデザイナーのモデラーという職業はキツイのかどうか。
それを業界別や契約形態、当時働いていた頃のスケジュール等を含めて解説していきます。
( こんなことが分かります)
✔ 3DCG業界がブラックかどうか
✔ アニメーション会社のスケジュール
✔ 業界別にどのくらいキツイか、主な契約の種類について
3DCGモデラーの仕事はキツイ?
はい、キツイです。
終らないリテイクに変わるカットによる無限残業…
上司からは速くしろと言われつつもどう頑張っても時間が足りないと嘆くこともしばしばあります。
ですが、これはモデラーでアニメーターはもっと悲惨な現状だったりします。
自分の会社は、新規カットをガンガン入れてくる会社だったので、まぁ昨日は平和だったのに明日になったら、会社に泊まらなければならないなんてしょっちゅうなんです。
ブラックかそうじゃないかと言われれば、確実にブラックですね。
キツイのは十分わかったが、何がどうキツイの??残業代は??など疑問があると思います。
そんな疑問3つほど、自分が体験してきたことと人から聞いたことを交えながら答えてきます。
疑問1、残業はあるのか?
製作工程により残業が発生する箇所があります。
主にモデリングを製作している段階の終盤には、スケジュール通り終わらせる為に残業するといったこともあります。
因みに自分は、モーション班の手伝いにもまわされたりしていたので、泊まり込みが1週間続いたこともありました。
疑問2、なんでそんなにキツイのか??
きついかどうかが分かったが、なんでそんなにきついか疑問ですよね??
その疑問をを解決するためにもまずは、作業内容とスケジュールから見て説明していきましょう。
- 3DCGモデラーの主な作業内容
下記のようになっています。
たまに背景のみのカットのレイアウト(Lo)を手伝ったりすることがあり、慣れてないせいかリテイクを食らいまくることがあります。
BGって何??
これは、背景の意味でバックグラウンドの略ですね。
業界用語でよく使われます。
LOって何??
これはレイアウトという意味になります。
これもBGとおんなじでよく使われる業界用語になっています。
- 1日のスケジュール(忙しい時期とそうじゃない時期)
2パターンにして書いています。
忙しくない時期)
8:30、始業
9:00、仕事開始
12:00、昼休憩
13:00、午後の仕事開始
18:00、定時
19:00、インターン、新人の研修レポートや明日のチェック、1日の成果などの提出物を作成
20:00、何もなければ帰れる
たまに何処かで会議とかがあった場合は、帰る時間が遅くなったりする。
監督など急な指示が飛んできたりすると、帰ることができなくなる場合もある。
大体家に着くのは21:00前といった感じです。
何もなければ、19:00に会社を出ることもたまにありますね。
忙しい時期)泊まり込み状態
8:00、起床
8:30、始業
9:00、仕事開始
12:00、昼休憩
13:00、午後の仕事開始
18:00、定時
19:00、インターン、新人の研修レポートや明日のチェック、1日の成果などの提出物を作成
20:00、そのまま仕事
4:00~5:00就寝
たまに何処かで会議とかがあった場合、リテイクの即時対応を求められた里した場合は、寝ることが出来なくなったりします。
自分がいた会社は、コロコロ設定を変えたりする会社なので、こんな地獄なスケジュールになります。
正直、なんで生きてるのか分からなくなるレベルに陥ります。
ただ、このスケジュールはほんの一時的なので、なんとか頑張れることが出来ますね。
疑問3、こんなにキツい状況になる理由は??
製作費の少なさとスケジュール過密すぎ、上層部の3Dについて分かってなさすぎるのが問題です。
2Dではサクッと修正できる箇所が3Dではかなり時間を要することが結構あります。
上層部の人間は、2Dのことは詳しい人間ばかりで3Dに詳しい…って人は、結構少なかったんです。
其のせいで、スケジュールがかなり厳しいことになり、下っ端の3DCGデザイナーにしわ寄せがきてしまいます。
アニメーション会社は、他の3DCG業界に比べて特にキツイ業種です。
3DCGの比重にもよりますが、フル3Dのところはかなり地獄な設定になっています。
特に忙しい時期が続くと1週間とか泊まり込みで働き、休日返上も当たり前になってきてしまいます。
製作工程から見る仕事がキツイ箇所
自分がアニメーション会社に勤めていたのもあり、アニメーション会社での製作工程から見た仕事がキツイ箇所の例を出してみます。
1、絵コンテ製作、キャラクター等設定画製作、セリフ製作
↓
2、キャラクター、BG、小物のモデリング、キャラクターのリギング
↓
3、背景、小物のレンダリング設定、UV展開、テクスチャ作成等レンダリング設定
※キャラクター出来次第、レイアウトからアニメーションをつける
↓
4、レイアウト、アニメーション、モデルの不具合や注文対応
↓
5、アニメーション完了カットから随時レンダリング、コンポジット
(定期的に監督に確認を行い、こうしたい等要望があれば追加でこなしていく)
モデラーが一番忙しくなるのは、2番と3番です。
その時は、いくつものチェックを通過させ、スケジュール内に納めなければなりません。
ここでのチェックを通す人たちは、
- モデリングの担当部長
- 製作総指揮者(各部門の総指揮者を取り仕切る人)
- デザイン担当
- 監督
1番のモデリングの担当部長は、3DCGのことが分かっているので、技術的な面も加味してリテイクを出してきます。
だが、問題は2以降のチェックする人たちです。
3DCGをあんまりいじっていない人が多く、サッとチェック出された時「すぐ終わるでしょ」的なニュアンスで出されるんですが、実はそのリテイクはかなり時間がかかるものだったりすることが大半です。
そうしたとき、結構かかる理由を説明しに行くと大体不機嫌になり、速くやるように工夫しろと言われるくらいで、残業を余儀なくされます。
その工程が残り3段階あると思うと…どれだけ作品が大変かがわかりますね。
ちなみに…2の製作総指揮者でリテイクが出されて、3のデザイン担当で製作総指揮者が出したリテイクを元に戻すようにリテイクがくる場合もかなりあります。
最後の監督の鶴の一声で、モデルが一新され、1番からやり直しパターンも存在するので、泊まり不可避な状況に陥るなんて日常茶飯事です。
モデルがあらかた完成してしまえば、あとは細かな修正だったり、追加注文の対応などです。
たまにBGだけのカットのレイアウトが回ってきたりもするので、その都度やっていく感じですね。
業種別でどのくらいキツイか解説
ここでは、業種別でどの業種がキツイかを解説していきます。
アニメーション会社以外は、聞いた話を元に解説してます。
アニメーション業界
キツさ5/5
過労死も目じゃないキツさ。
前の項の自分のスケジュールを見て貰えれば分かる通り、地獄の一言です。
やりがい以外何も存在しない業界で、生き残るためには要領の良さとアニメが好きという気持ちを強く持たなければ続けることは出来ません。
実際、自分のいた会社は、1か月に最低1人辞めていく訳の分からない状況でした。
ゲーム業界
キツさ3/5
問題なくやっていけるキツさ。
ここの業種は、他と比べてかなりホワイト気味です。
給料も他と比べて良い会社が多く、特に今はスマホゲームを扱っている会社は特に給料が良いという話です。
ただ、今はオンラインゲームが主体でメンテナンス時に対応したモデル修正や追加モデルなど忙しい時期は存在します。
パチンコ業界
キツさ4/5
過労死まではいかないもののかなり辛いキツさ。
パチンコの映像を作ったりするのが主で、数パターン作る程度です。
ですが、その数パターンでもたくさんの案件を抱えれば、相当な負担になるのは事実。
実際、パチンコ業界に行ってた友人が言うには、いっぺんにリテイクが来たときは、泊まり込みも普通にあるとの話でした。
それに、この業種は単価が安いことが多い。
一番ホワイトに近い業種は…
ゲーム業界ですね。
今後も上昇志向で、お金の流入も良いことから待遇も良い会社が多いんです。
実は、専門学校の先輩がスクエアエニックスに就職した人がおり、その人から話をきいたことがあります。
給料は、やはり良かったのと仕事が細分化されているので、かなりやりやすく特化気味になりやすいといっていました。
残業もしっかりでるとのことでしたが、組織内で派閥なるものが出来ているので、ちょっとめんどくさいという欠点もあるようです。
ちょっと話はずれましたが、求人や色んな人から聞く限り、一番ゲーム会社がホワイト色が強く、やっていけるキツさのようです。
どうしてこんなにキツイ状態に陥るのか~契約形態から見て解説
こんなにもキツイ原因は、契約形態が根本にあります。
この業界は、成果物ありきの業種のためこういった成果物が出来なければ、終わらない恐ろしい契約形態になっている会社がかなりあるんです。
キツイ状況に陥る契約形態1、裁量労働制の会社が多い。
日本の労働法制で採用されている労働者が雇用者と結ぶ労働形態の一種。 労働時間と成果・業績が必ずしも連動しない職種において適用され、あらかじめ労使間で定めた時間分を労働時間とみなして賃金を払う形態
要するに時間に関係なくしっかり成果物…業績を出せば、しっかり給料を払うし、問題ないよという形態です。
これにはメリットデメリットが存在します。
- メリット
終れば帰れる。
- デメリット
終らなければ帰れない。
基本残業代はでない(組み込まれている)。
単純ですね。
成果物が出来ればいいかどうかなので、こういうメリットデメリットになるわけです。
終らなければ、永遠残業してでも成果物を出さなければならないが、終わってしまえば、さっさと帰ることができる。
自分の勉強にこっそり当てても特に問題もないんです。
成果物ができてますから。
ただ、これはよくできた仕組みで残業しても残業が給料内に組み込まれているので、会社が存することが殆どないんです。
なので、最初働き始める際あまり仕事に慣れていない時期は、地獄を見る人が殆どです。
キツイ状況に陥る契約形態2、業務委託契約で採用する会社が多い。
業務委託とは、自社で対応できない業務を他の企業や個人といった外部に委託する契約となっています。
ですが…一部の会社では、これを一般の社員に適用してしまっている会社もかなり多くあるのが現状です。
これは、括りとしてはフリーランスです。
保険もつかないので、自分で払っていくしかないですし、成果物を出さなければ給料も出ない場合だってあるんです。(殆どありませんが…)
もちろん残業代なんてものは存在しません。
フリーランスという括りなので…
フリーランス関連で、3DCG独学でも行けるかどうかを業界で働いていた自分からみた意見を交えつつ書いた記事がこちら…
3DCGモデラー、独学でいけるかどうか)
おまけ)キツさを和らげるために…
キツイキツイって言っていても始まらないですよね。
キツさを和らげるために工夫していくか転職して待遇のいい会社に移るか…
他にもキツさを和らげる方法をご紹介します。
- 単純に技術、知識を深めて速く成果物を完成させる努力をする。
自分の技量を上げるパターンになります。
転職してもその先でおんなじ契約形態だったりすることが多いので、大人しくこのパターンに徹するのも1つの手です。
- やりがいを見つける。
これは、大きな原動力になるんですよね。
実際に働いていた頃は、給料も良くなかったので、このやりがいだけで頑張っていた節があります。
3DCGデザイナーのやりがいについての記事)
3DCGモデラーはキツイかどうかのまとめ
かなりキツイし、ブラックのところが多い。
それは業種によって大きく違ってきたりする。
- ゲーム業界が一番ホワイトに近く、アニメーション業界が一番ブラックに近い。
※実際、ゲーム会社でもブラックのところもあるし、アニメーション会社でもホワイトに近い会社も存在します。
裁量労働制や業務委託契約といった成果物を出せば、お金が支払われる契約が主。
メリット、成果物を出せば速く帰れる。
デメリット、残業代も加味されているし、終わらなければ帰れない。