知っときゃ良かった…3DCGアニメーターに必要な知識とは?
(更新日: 2020/02/11)
3DCGアニメーターを目指そうとしているが、どういった知識が必要なんだろう…って悩んでたりしませんか?
自分も学生の頃、全く分からずがむしゃらにモーションを作っていました。
そして…3DCGデザイナーのモデラーとして就職したはいいが、人手不足から3DCGアニメーターをやっていた時期があったんです。
その時にこの知識は必要だなとかこういう失敗からこのこういう知識がしっかりつけといた方がいいよという実際現場で働いていた人目線での必要な知識って??というのをご紹介します!
( こんなことが分かります)
✔ 3DCGアニメーターに必要な知識
3DCGアニメーターに必要な知識
3DCGアニメーターをするにあたって必須ともいえる知識がいくつかあります。
その知識5つをご紹介していきます。
3DCGデザイナーとクリエイターごっちゃになってませんか?
その違いについての記事はこちら▶️知らないと本当に損する!3DCGにおけるデザイナーとクリエイターの違いって何?
・3DCGアニメーターに必要な知識1)3DCGソフトの知識
これは、3DCGアニメーターなので、3DCGソフトの知識がないと仕事になりませんよね?
じゃあ、どういった知識?となるとそれは、アニメーションに関する知識、例えばキーの打ち方だったり、キャラクターのリグの構造を完璧にとまではいきませんが、なんとなくわかっていないとなりません。
特に、IKの特徴とFKの特徴も押さえていないとアニメーションをつける時は、苦労するし、最悪やり直しということもあり得ますので、しっかりと 押さえておきましょう。
IKって??
Inverse Kinematicsの略で腕を例えにすると、手首のリグで動きを制御して、肘の制御を手首の回転で制御するやり方。
手首の動きや回転で制御できるので、自然に物をつかんだりするときなどモーションをつけやすい。
参考サイト)IKとは
IK | CG用語辞典 | CGWORLD Entry.jp
FKって??
Forward Kinematicsの略で、腕を例えにすると、肩、肘、手首のリグで移動と回転それぞれ制御するやり方。
前腕を固定して手を振るだけの動作などは、IKよりFKの方が断然つけやすい。
参考サイト)FK
FK | CG用語辞典 | CGWORLD Entry.jp
IKとFKの特徴
FK and IK Explained - Which One to Use and When?
※英語ですが、言ってる言葉が分からなくても絵でなんとなくイメージがつくと思います。
・3DCGアニメーターに必要な知識2)カメラ、パースの知識
モデリングの時の必要な知識でも書きましたが、アニメーターの方が必須になります。
カメラの広角、望遠、魚眼レンズといった知識で、カメラの構造の理解した方が、より理解が進むでしょう。
1点透視図法、2点透視図法、3点透視図法といったパースの知識も念のためつけていくといいでしょう。
自分が新人だったころ、レイアウトを切る時に全く理解できず 、何度もリテイクを食らった事があります。(滅茶苦茶怒られた…)
一応透視図法とかなんとなく覚えていた程度で、どのカットがどういった透視図法というのを気にせず切っていたのです。
再度、透視図法を勉強し、レンズの知識とかも勉強し直して多少は、レイアウトのリテイクは減った過去があります。
大きい会社はどうかはわかりませんが、中小企業などは、大体アニメーターがレイアウトを切ることが殆どです。
しっかり、レイアウトがきれるようにするべきです。
望遠レンズって??
「画角の狭いレンズ」・「焦点距離が長いレンズ」ということになる。望遠鏡のように遠くを写すために、また近距離にある被写体を大きく写すために使われる。
3DCGのmayaでは、実際の望遠レンズと違い、望遠にすればするほど、奥行きが詰まって見えるようになります。
広角レンズって??
標準レンズよりも「画角の広いレンズ」・「焦点距離が短いレンズ」ということになり、簡単に言うと望遠の対義語のようなイメージとなっています。
画角が狭い望遠レンズとは逆に広角は画角が広いので、風景をより広く見せることができますが、広角にすればするほど、樽状に歪んでしまうという欠点もあります。
3DCGのmayaでは、奥行きが実際のレンズよりも出来てしまい、より不自然になってしまう傾向があります。
理由
3DCGアニメーターは、モーションをつけるだけではなくレイアウトを作るという作業もやらなければなりません。
レイアウトでは、絵コンテから絵に合わせて3DCG上に同じニュアンスの絵の構図になるようにカメラの設定、キャラやBG(背景)を設置します。
なぜ同じニュアンス同じニュアンス?完璧に合わせればいいんじゃね??と思うと思いますが、実は、完璧には合わせることはできません。
ここで言う完璧というのは、1mmも狂いなくという意味で、実際人が書いた絵を3DCG上の演算で作られた世界とは、整合性は完璧には合いません。
人の書いた絵が写真のように狂いなく書ける人間なんて殆どいないですし、アニメ作品だと金田パースなど独特な表現を多用したりするので、完璧に合わせることなんてできません。
そもそも絵コンテは、人によってはささっと書いた絵に近いものだったりするので、あわせるのすら大変なんですよね笑
それに完璧に合わせるのは、正確にはレイアウト作業ではないですね。
原画とかそういった作業になります。
と脱線しましたが、そのレイアウト作業では、透視図法やカメラの知識を使って書かれている絵コンテの意味をくみ取って合わせる為、自分たちアニメーターもそういった知識を分かっていなければレイアウトを切ることはできないのです。
レイアウト(原図)って??
絵コンテに沿って、BG、キャラクターを配置する作業で、このアタリに沿って、2Dだと背景を書いてもらったりしますが、今回は3DCGなので、その背景に沿って、必要であればモデリング班などに小物の製作依頼をだしたりします。
この作業では、カメラどういったアングル(煽り気味?俯瞰気味??など)広角か望遠かも設定します。
金田パースって??
金田伊功さんが生み出したパース。
ロボットアニメなどにおいて緩急をつけながら舞うように動くアクロバティックなメカ表現や大胆に誇張された遠近感とポージングを加えた独特な作画のことです。
ちなみに「金田びかり」と呼ばれる実写のレンズの逆光で起きるゴーストを表現として取り入れられたりしています。
参考サイト)
俯瞰って??
一言で言ってしまうと、高いところから見下ろす事です。
言葉でいうよりも、絵で見た方が分かりがよりいいと思いますので…下に参考サイトを載せておきます。
あおりって??
下から対象を見上げる構図のことを言います。
俯瞰と逆の構図ですね。
煽り、俯瞰の参考サイト)
マンガの基本構図5パターンと描き方のコツを参考実例を交えて解説! | テラストーリーズ
・3DCGアニメーターに必要な知識3)身体の構造の知識
アニメーションをつける時にどこまで腕が曲がるか、肘膝が曲がる若しくは動くかということです。
アニメーターに必要ないんじゃない??と思うかもしれませんが、必須です。
自分が新人を見ていた頃、振り向くシーンをアニメーションつけて貰っていたのですが、その振り向くシーンでなんと首が90度以上回っていました。
そもそも回っても80度くらいだと思います。
無理くり全力で首を回転させれば、90度くらいまではいきそうですが、首がみしみししますし、振り向くのに全力で首を回転させるのも不自然極まりないですよね?
身体の構造の知識を知っていれば、こんなミスはしません。
例えば指を開いたり、閉じたりしてみて下さい。
それで薬指だけを開いてみて下さい。
できますか??普通はできないはずです。
薬指を開くには、小指を絶対に動かさないといけませんし、中指も一緒に追従する形で動きます。
因みに意識しないと中指もピクピク動いてします。
以上、経験から身体の構造の知識を知らなければ、余計なミスを防ぐことができます。
それに、勉強しなければ、気付かずにミスをしてしまうので、しっかり勉強する必要があります。
・3DCGアニメーターに必要な知識4)動画の知識
フレーム数の知識だったり、映像の拡張子といった知識になります。
映画やアニメでは、約24fpsで、地デジ放送などでは30fpsで、YouTubeは30~60fpsとなります。
フレーム数が多ければ多いほど滑らかに動きます。
スポーツカーなどの撮影時では、60fpsで撮影することがあります。
そもそもこういった知識がないと、最初の設定時に変な設定をしてしまう可能性があるのです。
大体仕様書があるはずですが、アニメを作ると言っているのに40fpsだとか訳の分からない設定にしたりする人を過去に見た事があります。
そうなるとかなりめんどくさいです。
3D上でその設定を間違えたままやると1からやり直しレベルまでやらないといけなくなります。
そんな致命的なミスをすれば、当然上司に怒られるので、しっかりそういった知識もつけるべきですね。
フレーム数って??
動画の中で1秒間に使用する画像の枚数(コマ数)を表すものとなります。
英語の"frames per second"を省略した”fps”が単位となります。
動画というのは、パラパラ漫画のような原理で、静止画の集合体のようなものです。
1秒間に24fpsですと、24枚の絵が映し出されるということになります。
動画でいうと、フレーム=1枚の静止画といった意味になります。
なので、フレーム数が多ければ多いほどヌルヌル動く(滑らかに動く)ことになり、フレーム数が少ない程、カクカク動くことになります。
下記フレーム数の違いの参考動画になります。)
fps(コマ数)の違いによる見え方の違い
YouTubeのHuckleTV / ハックルテレビより参照
こんな記事もどうですか?)
・3DCGアニメーターに必要な知識5)アニメーション用語やアニメの知識
自分は、アニメ関係の会社だったので、実写の方はどうかはわかりませんが、オーバーラップやフェードイン、フェードアウト、パンや絵コンテなど様々なアニメーションもしくは動画編集の知識です。
そもそも現場では、「ここはパンするから」とか絵コンテにパンと書いてあったりするので、それをいちいち調べていたり、聞いていたりするのは、手間ですし、「そんなことも知らないのか!?」と怒られたりしますよね?
なので、しっかりと覚えて、使えるようにしましょう。
それとアニメ業界では、アニメの知識がないと辛かったりします。
自分が現場で働いていた時は、絵コンテの説明の時にあの作品のあんな感じのイメージだとかそういう説明を受けることがちょくちょくあるので、アニメもしっかり見ていないと「それ…みたことないんですけど…」とかなってしまい、手間取ってしまいます。
全てをモーラすれ!!というのは、難しいですが、有名どころは押さえておいた方がいいでしょう。
参考記事)アニメーション用語
アニメーターを目指す上でこの技術は必要なんだろうかという点がもう一つ…モーションキャプチャの知識です。
アニメーターもモーションキャプチャーの知識が必要なのか…必要だとしたら、どういた知識が必要なのかという話です。詳しいことは下記の記事に書いています。
プロしか知らない真実…3DCGアニメーターもモーションキャプチャーのスキルも必要? - 映画の部屋
最後に…
意外とアニメーターは、覚える事が多いんですよね。
アニメーション用語だったり、アニメ業界だとアニメの作品をみていないと厳しかったりします。
自分も用語だったりが忘れていたりして、聞いたりした覚えがあります笑
聞いた時はびっくりした顔されてなんだか恥ずかしくなった覚えもあるんですよね…
IKとFKの特徴も最初はしっかりと分かっていなく、モーションのつけ方を間違えて、修正に無駄に時間がかかってしまったりと色々失敗もありました。
失敗という経験から色々学べますが、なるべく失敗はしたくありませんよね?
3DCGアニメーターを目指している方は、是非、この記事を読んで、失敗しないよう気お付けて下さい。
3DCGアニメーターに必要な知識、まとめ
3DCGアニメーターに必要な知識5つ
- 3DCGソフトの知識
- カメラ、パースの知識
- 身体の構造の知識
- 動画の知識
- アニメーション用語やアニメの知識